歌の自然な流れを思えば、地声からミックスボイスへの切り替えは、無意識な中で自然に行われるのが一番ですが、やはりある程度は目安がないと不安ですよね。
地声からミックスボイスに切り替る喚声点
一般的には、ミックスボイスの入り目は、平均的な男声でピアノ鍵盤の中央付近にあるミドルCの上のE♭辺り、平均的な女声でその上のB♭辺りと言われています。
地声からミックスボイスへの切り替えは、世界的に見ても歌唱の最も重要なポイントであり、各国それぞれに呼び名があります。最も一般的な呼び方はブリッジで、日本では喚声点と呼ぶ事もあります。
どの国の民族の声帯も同じように、地声とミックスボイスの間を自由に行き来して歌うには沢山の練習を必要としています。この切り替えが難しいのは日本人だけではありません。
次の鍵盤図でブリッジの位置を確認して下さい。緑色のマークがそれです。
一般男性テノールのブリッジ
オレンジ色のマークもブリッジです(セカンド・ブリッジ)。この第二のブリッジはミックスボイスからヘッドボイスへの橋渡しです。地声からミックスボイスほど顕著な声の変化はありません。影のある鍵盤はビアノの鍵穴近くの中央C(C4)です。ギターで言えば2弦の1フレットです。
一般女性ソプラノのブリッジ
低声種のブリッジ
男声でも女声でも、声帯の大きさには微妙な個人差があります。やや大きめな声帯の持ち主は傾向として低めの音域を持ちます。彼等の喚声点は少し低いです。
Q1.1 裏声からミックスボイスを練習するには?でも触れていますが、地声の低い音域から音階を上がる時、喚声点に届くまでただボーっと過ごすのでなく、地声としてしっかり発声しながらも少しずつ「伸びやかに・軽やか」にしていくのが理想です。
喚声点までは地声の高い音が必要になる
歌ってみれば分かりますが、喚声点より下の音でも、地声で歌うのに難しい高音はたくさん存在します。
地声の音域でも、声を上手にコントロールしないと喚声点にたどり着く前に怒鳴り上げてしまいます。喚声点に至るまでは、高い音ほど少しずつ薄く軽くなり続ける必要があります。
軽くなる事を恐れないで下さい。通常、声が軽いとパワー不足に聞こえますが、あなたの声の響きが充分に深いと、軽くなる事でエネルギーを失う事はありません。エネルギーを持ち続けて(もちろん張り上げる事はせずに)ブリッジを通過すればミックスボイスにつながります。
出来ましたら喚声点の手前3つ目くらいから、音のサイズを小さくまとめるように発声して見て下さい。ただしそれは響きが浅いと無理な作業です。豊かな、深い響きを持つ事が前提です。
リップロール(Q1.5 リップロールを練習すればミックスボイスが出せますか?のページに詳しい手順を解説してあります)を上手に練習すると深い響きが得られます。
ミックスボイスについて、もっと知りたい方はミックスボイスのページも併せてご覧下さい。