東京渋谷で29年続くボイトレ教室

Q 2.10 喉を開けて歌う方法が分かりません

多くのトレーナーが何も考えずに「喉を開けて歌いなさい」と言います。皆さんも聞いた事があるでしょう。しかし、喉を開けるという技術を簡単に考えてはいけません。とても精密にやらないと逆に発声を悪くするうえ、その精密に行うこと自体が大変難しいのです。開けようと頭で考えた時点で喉のフォームは崩れます。

喉を開けるということ

喉を開こうとすれば当然、喉に意識が向かいます。それが間違いの元です。喉を意識的に開いてはいけません。最良の喉のフォームは、喉の事を考えている時には現れないのです。

正しくセットされると、喉のフォームとはとても広い範囲にまで及びます。喉はもちろん、口、顔、さらには胸、腰なども関わります。

関わる筋肉が多く、筋力バランスの個人差も大きいため、誰でも簡単に喉が開く便利で安全な練習メニューはありません。

でもご安心下さい。その生徒さん一人ひとりに適した最良の方法が必ずあります。自然と喉が開いて、リラックスして歌えるよう本校ベテラン講師がリード致します。

喉のフォームは安易にいじらない

「喉を開く」は「お腹から声を出す」や「声を前に出す」と並んで三大悪セオリーの一つです。困った事にどれも昔から定番なので、考えの浅いトレーナーはすぐにこのセリフを言います。

喉については全く触れないか、触れるならキチンと丁寧に説明した上で、実践的なエクササイズを行うのが正しいボイストレーニングです。

安易な気持ちで喉のフォームをいじり、生徒さんを混乱させるトレーナーは後を絶ちません。カラオケブームに乗じてボイトレ教室が急増中なため、新人トレーナーも溢れているのでしょう。

実践してはいけない定番ヒント

「喉を開けて歌え」と言われても、具体的にどこをどうすれば良いのか分かりません。具体的なコツとして、トレーナーが口にするヒントは次の三つが一般的ですが、それは実践しないことです。

1.アクビをして喉を開く

2.喉を開ける=喉仏を下げる事

3.アゴを引きなさい

1・・・アクビもよほど上手に再現できないと全然不要な動きになります。

アクビしただけで正しい筋肉群を的確に捉えている可能性は低く、通常はただオーバーに顔面の筋肉が動いた感覚が残るだけです。相当に良い耳を持ったトレーナーが一緒なら、アクビが有効な場合はあります。

あくびをする猫

2・・・喉仏を下げると喉の空間は広がりますが、顔や口を含んだ空間そのものは歪みます。仮に喉仏を下げる事が正しいとしても、どのくらい下げれば声が安定するのか、その加減が分かりますか?

喉仏を下げるという事において最大を目指してはいけません。喉仏の位置を安定させる筋力が一番強く働く方向は下ではないのです。

3・・・アゴが前に出ると、喉が開かないので確かにアウトですが、後ろに引けばセーフになるとは限りません。

頭蓋のもっと高い位置の繊細な動きで顔全体を安定させるのが正解です。

喉仏を下げるのでなく安定させる

本校のレッスンには、喉仏の位置を安定させるメニューもあります。ただし、それは喉仏を下げる練習ではありません。あくまでも「安定」が目的です。無理に下げると緊張します。

喉に必要なのは締めない事です。締めずに済むなら、開ける必要はありません。

高音では声帯をタイトに閉じますが、多くの人は同時に喉の空間も閉じて(締めて)しまうので、苦しい声になります。声帯が独立して閉鎖できる事が大切です。

時間をかけてフォームを築く

喉のフォームは、ボイストレーニングの中で最も複雑な手順となります。本来なら何ヶ月もかけて丁寧にレッスンすべきです。ミックスボイスも、声の通りも、豊かな声量も全てがそれに掛かっているので、時間をかけて練習する価値があります。

勘違いがあるといけないので、喉のフォームについてはホームページ上での具体的な図解・説明を控えさせて頂きます。Q&A2.3 歌うと息が続かないのです。どうすれば良いですか?には、喉の開き方のヒントが少しあります。

「喉を開く」という事をトレーナーが言ってはいけない理由の1つは、これを言われた人が発声のフォームは喉だけにあるように捉えてしまうからです。発声のフォームは、喉だけでなく、顔や口、胸、背中など身体のあらゆる筋肉が関与しています。

これらの筋力バランスが改善すると、あなたの声は劇的に良くなります。逆に、バランスを崩せば劇的に悪くなります。

筋肉同士の協調が良いと、喉も身体も楽に動けるので勘は鋭くなり、何を練習しても直感的に最良の結果が出せるのです。

ボイストレーニングの内訳

楽器プレイヤーも演奏フォームが安定した途端、抜群に上手くなります(立ち方や座り方、腕の位置を変えただけで演奏が変わります)。

ボイストレーニングも、筋力そのものを高めるエクササイズより、演奏フォームを改善するエクササイズの方が多いくらいです(私達の身体は楽器であり、私達はその楽器を演奏する演奏家でもあります)。

先述の通り、歌手の演奏フォームは、喉、顔、口、胸、背中にあります。

土台として下半身が安定している事も大事です。

正しいフォームをつかんだ時、全ての練習が何倍もの効果を発揮します。声帯はミックスボイス獲得の最短コースを進み、自然なビブラート、声の通り、歌の表情など、全てが抜群にレベルアップします。

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