東京渋谷で29年続くボイトレ教室

Q 2.04 高音を歌うとキンキンしたうるさい声になってしまいます

「一応、高い声は出るのだけど、うるさいキンキン声になってしまう」音域の高い曲が増えたのでそうお悩みの人は増えています。安定した喉で落ち着いた高音を歌いたいですね。

キンキン声の原因

キンキン声に悩む女性高音がキンキン声になる主な原因は、喉頭が高い事です(喉頭=喉ぼとけ。中に声帯がある。詳しくは専門用語のQ&A 4.4参照)。

喉頭が高くなる原因は、ミックスボイスの状態を知らない声帯が、高い音域を地声のまま歌おうとする事です。地声で無理な高さまで歌うと、喉はギュッと緊張し、音の上昇と共に、喉頭も上がってしまいます。

喉に手を当てて唾を飲み込むと、中で喉頭が上がる動きが分かります。高音を歌うと似たような動きが起きませんか?

それとは別に、日本人は高音域に行く前から基本的に喉頭が高い傾向はあります。

喉頭の高い状態で歌い続けると、耳障りな声になるだけでなく、必ず他にも色々な問題が複数派生します。今は特に問題がないとしても、いずれ影響が(声枯れ、声帯の疲労など)現れるはずです。

喉頭を上げずに高い声を出す方法

普通、上がる物を抑制するには下にさげる努力が必要だと考えます。喉頭を引き上げる筋肉群に対抗すべく、喉頭を引き下げる筋肉群を鍛えるのも、喉頭を低く保つ方法の一つではあります。

しかし一番大切なのは、喉頭の上昇に真っ向勝負を挑み、力ずくでその綱引き合戦に勝つ事ではありません。たとえ勝負に勝てたとしても、喉の中でそんな乱暴な筋肉対決が起こるのは快適な状態とは言えません。

喉頭の上がりを抑える一番の方法は、上がりたがる原因を取り除く事です。

先ほども言いましたが「高い声を出そう」というあなたの思考を受け取った声帯が、ミックスボイスやヘッドボイス用の形態を知らないと、地声用の形態のまま無理に高音を出そうとします。

地声の担当音域は、皆さんご存知のように本来は低音です。

次の図のように、地声の時の声帯は、左右から厚みのある声帯が寄り添う事で振動部(合わさる部分)に重みを持たせ、低い振動数(低音)を出しています。

低音の厚い声帯と高音の薄い声帯

高音の出し方

高音は声帯の振動数が高い事で生み出されます。

声帯が厚く寄り添うと振動部分の質量が重くなるため、高い振動数を出すのが難しくなります。

厚い声帯で高音を出すには、喉頭が上がるほど喉を締め付けて、声帯が緊張したキンキン声を出すくらいしか方法がありません。

高い振動数を出すのに理想的な声帯の状態は、先程の図の下の声帯のように薄く寄り添う事です。

自分の意志で物理的に声帯を薄くするのはまず無理です。出した声で声帯の薄さを判断し、丁度良い薄さ(薄すぎてもいけません)の声を何度も練習する事です。自己流では難しい作業です。

シンニング

形ある物は何でもそうですが、弾力があって伸びる物は、伸ばすと薄くなります。例えば餅のように。

声帯も(前後に)伸ばす事で薄くなります。この技術をシンニングと呼びます。薄くするには理にかなった方法ですが、これを自分の喉の中で実践するとなるとスムースに行かない人は多いです。

自己流で研くのは難しい技術です。

地声の音域から、高めの音にはシンニングが必要です。ブリッジ(地声とミックスボイスが切り替わる高さ)に差し掛かってからでは遅すぎます。ブリッジについての詳細はQ&A1.2 どの高さからミックスボイスに入れば良いですかを参照下さい。

声帯が薄くなり、楽に高音が出るようになれば、喉頭は上がる理由を失います。徐々におとなしく下に落ち着くようになります。

輪状甲状筋

輪状甲状筋という、喉仏の下部の筋肉は声帯を伸ばしてくれます。

この筋肉は有名で、それを意識して高音に取り組む人は結構多いようです(ここではあえて図解しません)。

しかし輪状甲状筋だけに限らず、単独の筋肉を意識してそれ一つだけに頼ろうとすると、緊張ばかりが増えて実際の運動性は乏しくなります。

上手に発声出来ている状態では、直接・間接を含め、多くの筋力がバランス良く(それぞれ別の方向に)働いています。

声帯も大事ですが、声帯周辺にある声帯以外の筋肉や、呼吸筋の働きも重要です。実際にこれらは全てお互いに助け合っています。

他の要素に助けられる事もあれば、足を引っ張られる事も多々あります。

特定の筋肉をイメージしながらボイストレーニングするよりも、ただ単純に心地よい音と体感のイメージをつかむべく、何度も声を出すことです。

「そんな単純な練習で本当に声が発達するのか?」と思いますか?

はい、そうです。その人の個性や声の状態に合わせて厳選されたボイストレーニングとはそういう物です。ボイトレ教室を27年続けている本校はそのクオリティでレッスンしています。

それはミックスボイスではない

high A位(男声)になると、緊張した発声でも声質は薄くなるので「あ、声が変わった。やった。これミックスボイスかも!」と勘違いしてしまう人は多いです。

特にメロディーが地声から一気にジャンプする高音は、息を強く吐いて一気に出しやすいため、緊張した擬似ミックスボイスに飛び込んでしまう確率は高いです。

正しくミックスボイスを発声した場合でも、ハイトーンとしてのテンションや、高音を歌う高揚感は内在するため、その成否は判別しにくいでしょう。

ただし、勢いだけで出した高音はメロディーに自然な強弱を付けるのが困難となります。

あなたに必要な練習は、地声のシンニング、そこから上のミックスボイスという2つの目標を見据えた3、4個のメニューとなります。それらはあなたの声のタイプや、熟練度によって慎重に選ばれます。

ミックスボイス(=ミドルボイス)以上の音域では、ショートニングというまた別の声帯テクニックの併用が必要になります。声帯テクニックの詳細はQ&A1.4 ヘッドボイスにミックスボイス・・・声の種類がよく分かりませんなどでご覧頂けます。

ミックスボイスについて知りたい方はミックスボイスのページもご覧下さい。

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